人生初 TOEFL 受験レポ
これまで 1X (😉) 年以上にわたり英語喋れないコンプレックスを拗らせ続けた私ですが,先日ついに英語学習を始めようと一念発起しました。
なんだよ,普段医学論文読んでるくせに英語喋れねーのかよ!
と失笑されるかもしれませんが,ええそうです😡
正直このことをカミングアウトするのには勇気が要りますが,言ってしまいましょう。いかにスナック菓子のように論文をむさぼっていようが,英語を話すことは全然できないのです。悲しいことに。しれっと海外勤務されている先生方には敬意しかありません。
そんな私がこのタイミングで英語を改めて勉強しはじめた理由は色々とありますが,1つはキャリア選択のためです。遅まきながら,人生後半戦の選択肢を広げられるくらいの英語力(というより英会話力)を身につけようと思い立ったのでした。また,そろそろ子供に英語学習をさせてあげたいと思う中,いやまず自分じゃろと思ったのも1つです。
そこでまず私が行ったことは,
ということでした。
まずは現状把握
成功しやすい目標の立て方としては「SMART」というものが知られています。
- Specific: 具体的である
- Measurable: 成果を測定できる
- Achievable: 達成可能である
- Relevant: 最終目的に対して合理的
- Time-bound: 期限が決まっている
テストがなくても勉強することは原理的には可能ですが,目に見えるスコアがなければなかなかモチベーションも維持できません。
「英語が喋れる」という曖昧なゴールは,より具体的な目標に落とし込む必要があります。 そこで
1年以内に TOEFL XX 点 取る!
という目標設定を行おうと考えました。
しかしこれまで長きに渡り英語学習から離れていた私には「現在の立ち位置」すらわかりません。そのためまずは現在地を確認した上で,目標をきちんと設定していこうと思い立ったわけです。
TOEFLを選んだ理由
なお,ここで
なぜ TOEIC(L/R) ではなく TOEFL を選んだのか?
という点に関してですが,それは単純に,
です。
TOEIC(L/R)のスコアの価値は,国際的に主流とは言えません。これは1つには「英会話ができるのか/効果的なプレゼンができるのか」ということが TOEIC L/R のスコアからでは全く分からないからでしょう。そもそも Speaking や Writing といった言語のアウトプット能力を一切評価していないからです。
この国際的立ち位置を考えると,これまでなぜ日本のビジネス界で偏重されてきたのか疑問にすら感じます(TOEIC L/R よりTOEIC S/W の方が現実には重要なスキルだと思います)。
一方,TOEFL や IELTS は海外の多くの大学・大学院が一定のスコアを留学受け入れ要件としています。それは Speaking,Writing も評価する総合的な英語力試験だからでしょう。
というわけで,私はまず TOEFL をポチりました。
IELTSでもよかったのでは?
と言われれば,それはまさにその通りなのですが,情弱すぎて IELTS のことあまりよく知らなかったため TOEFL を選択した経緯になります😅
TOEFL vs IELTS,TOEIC 比較 TOEFL/IELTS/TOEIC/英検 の4つの英語テストについて,各実施団体が公称している CEFR* との対応をもとにスコア比較表を作ってみました。 素直にウェブ検索をすると 英会[…]
Home Editionの失敗
私が最初にポチったのは TOEFL iBT home edition でした。
これ最近まで全く知らなかったのですが,TOEFL には home edition というものがあり,COVID-19 流行以降,自宅でのPC受験が可能になっている のです。
リアルタイムで常に自分の顔面をモニターされながら受験する羞恥プレイは強いられますが,自宅で受けられるというのはかなりのメリットです。周囲の騒音も気にせず集中して取り組めますし,PCも慣れたものを使えます。
「こりゃええやんけ!」と私も飛びついたわけですが,結論から言いますと,この受験には失敗しました。 というより受験すること自体できませんでした。
これはこれで別の記事に詳細を書きたいくらい衝撃的な事件だったのですが,試験当日にPCからアクセスしても,試験が永遠に始まらなかったのです。
原因はおそらく
- Proctor U という試験中の監視システムの予約ができていなかったため(本来TOEFL予約と同時に手配されるはずであり,単純に先方の不手際)
と思われますが,こちとら高いお金を払って部屋も掃除して臨んだのに受験できないなどと言われればブチ切れ案件です。当然,その場で苦情の国際電話を入れました(電話代!!)。
Proctor U 担当者に画面共有して状況を見てもらったりしましたが,結局
これでは受験できませんねぇ〜。こっち(Proctor U)の問題じゃないんですよねえこれは。そもそも私たちのほうに受付が来てないんですよ。つまり TOEFL 側の手続きの問題なので,そっちに連絡してもらわないと困りますねえ〜(英語)
とたらい回し。しかし TOEFL は休日のため電話がつながりません。メールをするしかないので,ひとまず目の前のこの試験は受験できずじまいが確定。仏クラスの温厚な性格に定評ある私もブチギレです(電話代返してくれ?)。
なにより英語の国際電話,本当に何言ってるのか全然分かりません。訛りもえぐい上に回線もブツブツ切れるので過去最高難度のリスニングでした。
しかし強い憤りのパワーを持ってそれを乗り越え,やりとりや画面記録も全部スクショして添付した苦情メールを TOEFL 運営者に送り付けたら,無料でリスケジュールしてもらえたのでした😊
なおこの件を友人に愚痴ったら
スピーキングもライティングも練習できたじゃん😊
と煽られたことをここに明記しておきます。
TOEFL現地受験レポ
というわけで Home edition には懲りたので,初回ということもあり素直に現地受験に変更しました(この変更は無料リスケで対応してもらえました)。
特に需要はないと思いますが,自分の備忘録として簡単なレポをまとめます。
TOEFL 当日の持ち物
まず持ち物ですが,これは結論から言えば,ほとんど要りませんでした。
必須品(無いと受験できない可能性がある)
必須なのはおそらく,以下の2つだけです。
- 身分証明
- 出願時にパスポートなり免許証なりで身分証明書類を登録
- それを持参する(自分はパスポートを使用)
- メールの文面
- 運営団体の ETS ウェブサイトで予約をしたときに登録したアドレスに,受験数日前に送付される
- 当日に ID などを確認してもらうため必要
- 印刷しなくてもスマホ画面で見せればOK
できれば持参した方が良いもの
ただ,食料品は持ち込んだほうがよいでしょう。
- 飲料
- 軽食(スニッカーズでもポッキーでもたけのこの里でも)
TOEFLは 受験前にロッカーに全荷物を預けなければなりません。ロッカー外に出しておけるのが上記の食料品と,医薬品・ティッシュなどのみです。
重要な点は,リスニングを終えた後の10分の休憩時間,ここで ロッカーを開けることはできない ということです。休憩時間中に財布やケータイは取り出せず,食料調達もできません。
つまり現地入りする前にこれらを用意してロッカー外に置いておかないと,2時間かけてリーディングとリスニングを終えて一呼吸ついたとき,何の水分補給も糖分補給もできないことになります。10時から14時過ぎまで何も口に入れないまま脳みそフル回転というのは控えめに地獄です。低血糖です。
要らないもの
筆記用具やメモ用紙の持参は不要です。いずれも所定のものが座席に置いてあり,むしろ持ち込み禁止となっています。
なお現地に入るまでは
休憩時間の10分で頭にテンプレ叩き込んで Speakingでぶっ放してやんよ!
などと卑しい計画を考えていた私ですが,休憩時間にロッカーから何も取り出せないという事実を突きつけられ絶望しました。
結果,休憩時間はただ瞑想して過ごしました。Life is beautiful. 🧘
TOEFL 集合時間について
- 10:00集合,受付順に開始
これは受験会場や日時によるかもしれません。
事前の英文メールには「30分前に受付を」と書いてあったのに割とみんな平気で遅刻していました。いずれにせよ受付順で中に案内されるため,各自勝手に始めていくことになります。
ただ早めに受付をすることにはメリットもあります。 みんながまだリスニングをしている間にスピーキングセクションに入れるのです。大声でかましてやりましょう “I live in Tokyo.”
逆に自分がリスニング中に周囲がスピーキングに入ってざわざし始めると,かなり気が散ります。遅れて行くよりは早めに現地入りした方がいいかもしれません。自分は遅めの入室だったので,リスニング中のガヤガヤには相当集中を削がれました。後悔。
受験した感想・むずかしさ
TOEFLはお高い試験です。235米ドルも取られます。今は特にごつエグい円安なので本当に高いです(怒)。
ですから本当はガッツリ対策してから受験したい気持ちもありましたが,そうこうしていると自分の「後回し癖」が悪影響を及ぼすという強い確信がありました。そこで今回は「現在の立ち位置確認」と割り切ってほぼノーガードでぶっ込みました。
結果,当然のようにボコ👊されました(特にスピーキング)。スピーキングはさすがに準備をした方がよかったと若干後悔しましたが,立ち位置確認という意味では一定の価値があったと自分に言い聞かせています。
セクション別に感想を書いてみます。
Readingセクション
まず Reading ですが,
- 英単語のレベルがかなり高い
- 文量はそれなりに多い(ゆっくり読む時間はない)
- パラグラフごとに上から順で出題されるため割と解きやすい
といった印象でした。
TOEFLは一貫して大学講義レベルの英語を想定しているため,専門性の高い英文ががっつり出てきます。あまり内容は覚えていませんが,
- エジプトのファラオの歴史(考古学・地理)
- アメリカの銃規制問題(社会・政治)
- 睡眠サイクルの重要性(医学系)
みたいなやつが出題された気がします。
自分は仕事で割と英文を読むのでリーディングは得点源と考えていましたが,想像していたより手強い印象でした。
特に課題に感じたのは単語力です。おそらく英検1級レベルと思われる 「なんぞこれ?」 という英単語が「やあ✋」くらいのテンションでポッポ並みに出現するので,ひとまず単語学習はきちんとやる必要がある,と再認識…。とはいえスコアは結構よかったので,一定程度自信にはなりました。
Listeningセクション
Listeningの感想としては,
- 「会話形式」の問題はそんなに難しくない
- 「講義形式」の問題は長い。眠い。
- 言ってる内容イマイチ分からなくても雰囲気で解ける問題が結構ある
- まわりでスピーキングセクションに入った人の声でかなり気が散る
といったところでしょうか。
思っていたより聞き取れない内容が多くそれなりに凹みましたが,会話の大筋さえ理解できれば正答できる問題が多かったため,大惨事にはなりませんでした。
きちんと英語を聞き取る練習が必要だと実感するとともに,周囲の “I live in XX” 攻撃を受ける前にスピーキングに入れるよう,早めに受付を済ませることが重要だとわかりました(重要です)。
Speaking セクション
ここが地獄でした。
もともと,TOEFL は Speaking セクションのレベルが高いことで有名です。
たとえば
小さな子供にスマホを与えるべきではないという意見があります。あなたはこれに賛成ですか?反対ですか?理由とともに答えてください
みたいな英文が表示されたあと,15秒で準備し,45秒で語る。 英語力はもちろんのこと,ロジカルな瞬発力が求められます。
また特定のテーマに関する文章とレクチャーを数分聞いた後,その内容を要約させる問題もあります(Integrated task)。
はい。鬼です。
幼少期からディスカッションとディベートを叩き込まれてきた戦闘民族アメリカ人にとっては容易かもしれませんが,我々のような温厚な農耕民族にとってはハッキリ言って母国語だとしてもそれなりの難度です。サイヤ人のスカウタ─で地球人の戦闘力を測らないでいただきたい。
このスピーキングセクションの難しさゆえに,「留学要件を達成すること」だけが目標であれば TOEFL ではなく IELTS を推奨,という意見もしばしば見かけるほどです。
結果はボロボロでした。
あっ・・・あっ・・・あの・・
って言ってたら終わった感じです。
自己評価としては「うーん,0点かな?😊」と思いました。採点者絶対私の録音きいて笑ったろ? 許さんぞ。咽び泣くぞ。
まあ受験前からわかっていたことですし,単純に準備不足だったこともありますが,自分の英語アウトプットの瞬発力がいかに貧弱かを再認識できた点は素直によかったと思います。 ……がんばろう。
Writing セクション
最後に迎えたのがライティングセクションです。
- スピーキングほど鬼ではない
- が,練習してないと時間が足りないし語彙力も足りない
ということがよくわかりました。
問題は2題構成。
- パッセージを読み,それに対する意見をリスニングして内容要約
- 「交通事故を減らすために人員ではなくカメラを設置するメリットとデメリット」みたいなテーマでした。
- お題を与えられ,自分の意見を自由に 300 words 以上でまとめる
- 「小学校の休みは9ヶ月連続学級→3ヶ月連続休みがいいか,3ヶ月ごとに1ヶ月の休みがいいか。意見と理由を述べよ」的なやつでした。
前者はまとめるだけですし,リーディングパッセージを読みながら書けるのでさほど時間はかかりませんでした。
しかし後者はなかなかしんどかったです。普段日本語でもあまり馴染みのないジャンルでロジカルな文章を300語もすらすら書くというのはやはりハードルが高いです。もっと練習をして引き出しを増やしておかないと,表現の幅も少なすぎます。時間も足りませんでした。
結果,狩られた形になります😉
スコアはすぐに分かる
TOEFLは 120点満点のテストです。Reading,Listening,Speaking,Writing それぞれ 30点満点で評価されます。誤差はありますが,目安として概ね 60/120 点で英検準1級相当,80/120 点以上で英検1級相当とされています(詳細はコチラ)。
R/L スコアはその場で分かる
TOEFLの良いところは,PC試験(CBT)なので,リーディングとリスニングは試験終了直後に採点結果が開示されるところです。
私の記念すべき初スコアは
- Reading: 27/30
- Listening: 22/30
だということがその場で開示されました。
英語が全然喋れない私ですが,仕事柄 論文はよく読むので Reading だけ尖っているという,まあ予想通りの結果…
とくに今回は医学系の長文が一題あり,そこでブーストできました。テーマ当たりという要素は否めませんので,次はきちんと勉強していかないと同じ点数が取れないかもとは怯えています。私にとっての得点源はここでしかないので,ここで取れないと話にならないわけではありますが…
S/W スコアは1週間後に分かる
その後 1週間ほどして Speaking,Writingの採点結果が届きました(早いですね。素晴らしい。●●専門医試験とは違います)。
結果ですが, S/W 合計で 30少々しか取れていませんでした。やはり Reading の成績と比べると歪さが目立ちます。さすがにノーガードでは厳しすぎ,現実を突きつけられました。 結果としては R→L→W→S と右肩下がりになっていく典型的な日本人の得点分布です。
ただ overall 80/120 は超えていたため,思っていたよりは悪くないスタートでした。
今後のお勉強プラン
1年後の目標
今回の結果を踏まえ,1年以内の目標は,高めに以下のようにします。
- overall 100/120 以上
- Speakingで 21/30 以上,S/W 合わせて 45/60 目標
正直かなり厳しい気はしていますが……だいたい 200 時間で CEFR 1ランク up という説を信じて,気長にコツコツ続けるとします。
何より「英語が喋れるようになること」は手段であって目的ではありません。ここに時間を奪われすぎても本末転倒ですし,バランスが難しいところです。最終的には「英語ができる」「英語を学ぶ」ではなくて「英語でできる」「英語で学べる」状態にならなければ意味がありません。
純日本人としてなかなか辛いところですが,少しずつやっていくしかないと腹を括ります。 ひとまず「現在位置を確認する」ところまではできましたので,後は計画を立てて実行するのみ。少しずつでも前進を試みます。
もし何かすごい英語学習ハックをご存知の方がいたら,教えていただけたら嬉しいです。こっそりメッセージください。