【比較】TOEFL スコア換算まとめ:IELTS,TOEIC,英検との違い

TOEFL vs IELTS,TOEIC 比較

TOEFL/IELTS/TOEIC/英検 の4つの英語テストについて,各実施団体が公称している CEFR* との対応をもとにスコア比較表を作ってみました。 

素直にウェブ検索をすると 英会話スクール等等が独自に作成した「比較記事」で溢れており,その多くは出典の記載がなかったため,正確な情報を見分けることが困難でした。

そこで,やむなく自分のために作成した経緯です。ほぼ自分のための備忘録ですが,誰かの参考になるかもしれませんので,一応置いておきます(出典は明記します)。

*CEFR = Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment;外国語学習・教授・評価 のためのヨーロッパ共通参照枠。語学能力を6段階評価する。詳細は後述

TOEFL・IELTS・TOEIC・英検・CEFR比較

2022年現在,各試験のスコア比較はざっくり以下の通りです(▼)。

CEFRTOEFL iBTIELTSTOEIC L/R英検
B260-786.0705-800準1級
B279-936.5805-9501級
C194-1017.0955-1級満点
C1102-1097.5該当なし該当なし
C1110-1148.0該当なし該当なし
C2115-1178.5該当なし該当なし
C2118-1209.0該当なし該当なし

上表は以下を個別に参照して統合・作成しました(▼)。

以下,余談です。

TOEIC L/R に関する注意点

まず本邦で普及している TOEIC L/R (Listening/Reading)についてですが,この試験は Speaking/Writing の 2 技能を一切評価していません

いっぽう,TOEFL や IELTSは Reading/ Listening/ Speaking/ Writing の 4 技能をそれぞれ均等に評価する試験です。

ここからわかりますように,TOEIC (L/R) のスコアを TOEFL や IELTS と比較することは困難です。

TOEIC (L/R) のみでなく TOEIC (S/W) 試験も受け,それらのスコアを合算することで,はじめて TOEFL や IELTS と横並びの比較が可能になります。上表で TOEIC L/R の「該当なし」領域が多くなっているのはそのためです。

上記はあくまで「L/R でこのくらいの点が取れるのであれば Speaking/Writing でもある程度の点をとって,このくらいに収まるだろう」という見立てに過ぎません。そして実際にはそれほど単純でもないと思います。
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Speaking で点が取れない日本人

ここで問題なのは,日本人は Reading,Listening といったインプットセクションの得点は取れるものの,Speaking は全くできない,という悲劇的傾向があることです(私もそうです😡)。

そのため TOEIC L/R の得点が高くても,TOEFL や IELTS では全く得点が振るわないということは大いにあり得ます。問われる能力がまるで異なるからです。

たとえば

安全性のため,子供のスマホ使用は12歳まで一律に禁止すべきだという意見があります。あなたはこの意見に賛成ですか?反対ですか? 理由とともに述べてください。
15秒後から録音を開始します。発言時間は45秒です。

──これは TOEFL iBT の Speaking セクションの例題です(実際の問題文はもちろん英語です)が,トレーニングをしていない日本人がこれにサラリと答えることは困難でしょう。

TOEIC L/R でいかにハイスコアラーだとしても,こういう問題で高得点を取るには別の訓練が必要です。

受験/就職でスピーキングが評価されない?

本邦では TOEIC L/R のスコア(990点中 XX 点)のみやたら取り沙汰される傾向にあると感じますが,残念ながらイコール「喋れる」ということにはなりません。

L/R のみでは言語4技能のうち2技能しか評価しておらず,肝心のスピーキングを含まないため,実用的な英語技能を反映したスコアとは言えません。

国際競争力のある人材を育てるという意味では,大学受験界隈も,ビジネス界隈も,スピーキングを含む4技能を評価する方向に舵を切っていく必要があるでしょう。

少なくとも,7年〜20数年 前の受験戦争でそれなりに善戦したはずの周囲の医師たちを見渡してみても「医学論文は難なく読みこなせるが,英会話は全然できない」という人の割合が高いのは事実です(私もそうです😡)。

Reading を偏重しすぎた日本の英語教育全体としての限界を感じますし,子供たちの世代では改善していて欲しいなあ…と思うところです。

実際,文科省も入試改革などでスピーキングのウェイトを高める姿勢を明示しており,近年は着実に改善傾向というニュースは聞きますので,期待しています。

外国語教育の抜本的強化のイメージ(文科省 PDF
文科省 令和3年度「英語教育実施状況調査」の結果:中学生・高校生の英語力では、CEFR A1レベル相当以上を達成している中学生,CEFR A2レベル相当以上を取得している高校生の割合は,目標(50%)には達していないものの,経年で着実に改善が進んでいる。
文科省PDF

TOEFL iBT スコアの概要と補足

話がそれてしまいましたが,TOEFL(iBT)の基本的内容も少しまとめます。

TOEFL は 120 点満点の試験で,CBT(PC画面をみながら行う試験)です。以下の順(▼)で出題され,リスニングとスピーキングの間に10分の休憩が挟まります。

  • Reading:30点(長文3-4,30〜40問:54〜72分)
  • Listening:30点(28〜39問:41〜57分)

  • Speaking:30点(4題:17分)
  • Writing:30点(2題:50分)

いずれのセクションも要求レベルが比較的高いことで知られていますが,とくに Speaking セクションの難しさは筋金入りです(さきほど例題をお示しした通り)。

また,上表の比較からも,ざっくり TOEFL では

  • 50%(60/120)得点:英検準 1 級レベル
  • 66%(80/120)得点:英検 1 級レベル

に該当することがわかります。ここからも相当の難易度であることが窺い知れます。

留学要件の目安

なお留学要件の目安としては,

  • 大学 留学:TOEFL 60/120 点
  • 大学院 留学:TOEFL 80/120 点
  • 世界有数のエリート大学院:TOEFL 100/120 点

最低スコアとして要求されます(もちろん大学により要求レベルはまちまちです)。

いわゆる「英語ペラペラ」は?

また,おそらく TOEFL iBT 100点を超えれば,一般的な日本人から見れば「相当ペラペラに見えるレベル」だと言えるでしょう。

英語が喋れる

という曖昧な定義は

「TOEFL 80点超えてる」(まあまあ喋れる;CEFR B2 上位
「TOEFL 100点超えてる」(いわゆる英語ペラペラに近い;CEFR C1

と言い換えることができそうです。この点は分かりやすくて非常に良いですね。目標が立てやすいです。

もちろんTOEFLはそもそも留学用の試験ですから,出題されるシチュエーションがややアカデミックなものに偏りすぎているという問題はあります(日常会話はあまり出題されない)。

CEFRとは

最後に,上表を作るにあたり全てのスコアの参照点として用いた CEFR についても補足します。

CEFR とは, 学習指導教材の編集,外国語運用能力の評価のため,国際的な包括的基盤として欧州評議会が発表したもの(2001年)です。

外国語学習者の到達レベルを測る枠組みなので,英語に限ったものではありません。

たとえば海外の人が日本語を学習する際にも「CEFR いくつを目標にする」とう様に指標として扱うことが可能です。

*CEFR = Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment|CoE

CEFR は 6段階スケール

CEFR では,外国語の習得度を以下(▼)の「3階建て」に分類した上で,それぞれをさらに2分します。つまり6段階評価のスケールになります。

  • (C)Proficient user – 熟練した言語使用者
  • (B)Independent user – 自立した言語使用者
  • (A)Basic user – 基礎段階の言語使用者

それぞれのレベルはざっくり,以下のような認識(▼)です。

  • (C)プロとして専門現場で流暢に実用できる
  • (B)日常会話が十分可能で,専門分野でも大きな支障なく実用できる
  • (A)単純かつ直接的な情報交換は可能

以下では The CEFR Levels を参考に,英語学習における CEFR 6段階のイメージを箇条書きでまとめてみます。 カッコの中身は私の非常にテキトーな印象論です🤗

CEFR C2(プロ。専門現場で英語で仕事してる人)
  • 聞いたり読んだりしたほぼ全てのものを容易に理解できる。
  • 自然,流暢かつ正確な自己表現ができる。
  • いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ,根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。
  • TOEFL iBT 115/120以上,IELTS 8.5 〜 9.0(英語の場合)
    • TOEIC,英検では評価不能域.TOEFLでも満点近い得点が必要。
CEFR C1(いわゆる “ペラペラ” に近い)
  • 高度な内容のかなり長い文章を理解できる。
  • 言葉を探しているという印象を与えず,流暢かつ自然に自己表現ができる。
  • 複雑な話題について,明確な構成の詳細な文章を作れる。
  • 社会生活,学問上や職業上の目的で,言葉を柔軟かつ効果的に用いる。
  • TOEFL iBT 95/120以上,IELTS 7.0 以上(英語の場合)

    • TOEIC L/R のみでは評価不能域だが,少なくとも 950/990 以上
    • 英検 1 級は余裕を持って合格〜満点レベル
    • 世界トップレベルの大学院に留学できる最低ライン
CEFR B2(まあまあ会話可能)
  • 自分の専門の技術的議論も含め,抽象的な話題でも具体的な話題でも,複雑な文章の主要な内容を理解できる。
  • 母語話者とお互い緊張せず普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然。
  • 幅広い話題について 明確で詳細な文章を作ることができる。
  • B2 上位なら TOEFL 80/120,IELTS 6.5 以上(英語)

    • これは TOEIC L/R のみで 950,英検1級 〜のスペクトラム
    • 状況を限ればペラペラに見えることもある(*)
    • 多くの海外大学院が留学を受け付ける最低ライン
  • B2 下位ならTOEFL 60/120以上,IELTS 6.0 以上(英語)

    • この得点であれば TOEIC L/R 800〜,英検準1級〜相当。
    • ほどほどに会話可能なレベル
    • 大学生の留学最低ライン
このように,一口に B2 と言ってもかなり幅が広いです。B2下位(TOEFL 60/120)では仕事で英語を用いたり大学院留学は難しいでしょう。しかし B2 上位(=TOEFL 80/120)であれば,大学院留学を受け付けてもらえるレベルです(ただしエリート大学院は C1要求)。
|*歪な得点分布の場合は別
なお overall で B2上位相当(TOEFL 80点)を超えたからと言って英語が喋れるとも限りません。私が初めて受験した TOEFL では Reading と Listening が得点源の大部分を占め(C1相当),Speakingはからっきし(B1下位相当)という歪んだ分布でしたが, 80 点は超えました(トータルでB2上位相当)。つまり英語が全然喋れなくても Reading,Listening が尖っていればスコア帯としては B2上位に入ってしまえるわけです。特に日本人ではこういうパターンがありえます。しかしこれでは私たちがイメージする「ペラペラ」とは程遠い状態です。やはり overall で C1 あるいは Speaking セグメント単体で B2上位相当(TOEFL speaking 22/30以上)からこそ「英語ペラペラ」に近い状態になっていくのだと思います。
CEFR B1(簡単な内容なら何とか…)
  • 仕事・学校・娯楽などで普段出会うような身近な話題について,標準的な話し方であれば,主要な点を理解できる。
  • 身近な話題や個人的に関心のある話題について,筋の通った簡単な文章を作ることができる。
  • TOEFL 42-59,IELTS 4.0-5.0 レベル(英語)
    • この段階でこれらの試験を受けても,50% 取れない
    • 英検 2 級以上〜のイメージ(2級合格でギリギリ B1 相当)
    • TOEIC L/R では 600-780 あたりと幅が広い
    • B2 同様かなり幅広い得点域なので,固定的なイメージは難しい
CEFR A2(スコシ,シャベレマス)
  • ごく基本的な個人情報や家族情報,買い物,仕事など,直接的関係がある領域に関しては,よく使われる表現が理解できる。
  • 簡単で日常的な範囲なら,身近で日常の事柄について,単純で直接的な情報交換に応じることができる。
  • 英検準2級相当
  • 本邦の高校 3 年生の約 46%ほどが達成見込(文科省 令和3年度調査
    • H23年 30% → H 28 年 36% → R3年 46% と経年改善傾向
|海外の高校生は?
なお英語に力を入れている国・地域の高校卒業レベルは「平均が B2 相当」だそうです(もちろんネイティブの国は除きます)。日本も頑張りたいですね…。 参考までに EFEPI という指標では,日本の英語力は現在もかなり下位 78/112 位にランクしています(※注:各国の受験者がその国を代表した平均的なレベルとは限らず,かなり偏ったサンプルであるという問題が指摘されている指標です。運営も営利団体です。ただそれでも日本が「英語は得意でない」ということは支持する結果だと思います)。
CEFR A1(あ〜っ・・えーと・・アイムファインセンキュー👍)
  • 具体的な欲求を満足させるための,よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し用いることができる。
  • 相手がゆっくりはっきりと話すなど助けが得られるならば,簡単なやり取りをすることができる。
  • 英検 3 級相当
  • 本邦の中学 3 年生の約 47%ほどが達成見込(文科省 令和3年度調査
    • H23年 25% → H28年 36% → R3年 47% と経年改善傾向

TOEFLの4技能別 CEFR

なお,TOEFLは公式 Hp で CEFR との対応を4技能別に公開していますので,それも転記しておきます。(Comparing TOEFL iBT Scores to the CEFR

CEFRReading (0–30)Listening (0–30)Speaking (0–30)Writing (0–30)Total (0–120)
C229282829114
C12422252495
B21817201772
B149161342
A2n/an/a107n/a

ウ〜〜ン,C2はバケモン!🙏😊

ただ実際 S/W で上記 C2 要求得点(S28/W29)をとるのはかなり厳しいとも思います。そのため「TOEFLで C2 レベルは測れない」という扱いをする団体もあります。

CEFR のランクアップに要する時間

なおCambridge English Supportによれば,CEFRのランクを1つ挙げるには,

approximately 200 guided learning hours

必要だとされています。

“guided” というのがポイントで,要するに「レベルにあった適切な指導」 約 200 時間でランクアップが可能と見込まれます。ここは投資が必要なところかもしれません。

もちろん 200 というのはあくまで目安で,語学学習バックグラウンドや学習強度,年齢,レッスン外の英語への接触量などに影響を受けることは強調されています。

日本人の英語スキルは歪な形で発達しているパターンが多い印象がある(Reading だけ突出など)ため,この時間をどの程度真に受けるべきかなんとも言えませんが,一つの目安として

毎日1時間捻出すれば毎年着実にレベルは上げていけるのかな?

ということは期待してもいいのかもしれません。

たとえば 日本人で B2 レベルの人はおそらく Reading と Listening のみであれば C1 かそれに近いレベルの得点が取れており,Speaking と Writing (とくにSpeaking)で点を落として B2 に落ち着くというパターンが多いのではないかと思います。楽観的には,Speaking と Writing のセクションに投資をして指導を受けながら学習を続ければ,毎日1時間の学習で1年くらいでレベルアップができるかもしれません(と思いながら私は頑張ります😅)。

まとめ

というわけで,今回は CEFR を基準に TOEFL,IELTS,TOEIC L/R などのスコアを比較してみました。

TAKE HOME MESSAGE

  • CEFR C1 以上(=TOEFL100,IELTS 7.5 目安)ならほぼペラペラに近いしエリート大学院にも留学可
  • CEFR B2 上位以上(=TOEFL 80,IELTS 6.5 目安)ならほぼ支障ないしほとんどの大学院に留学可
  • 日本で人気のある TOEIC L/R は speaking/writing が入っていないため,上記試験との比較は不可能(TOEIC S/W も受験すれば比較可能)
  • 総合的な英語のスキルを確認するなら,TOEFL か IELTS 受験がおすすめ

各種 英語試験の受験を考えている方々の参考になれば幸いです。

ではまた!

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