- 新型コロナウイルス治療薬ゾコーバは「緊急承認」見送りに
- 理由は主に以下の3つ(特に1つ目)
- そもそも治験で全く結果を出せていない上,後付け解析など禁じ手も
- 非代替性がない(3 剤目の内服薬,プロテアーゼ阻害薬としても2剤目)
- 安全性でも先行 2 剤に対し特に利する点がない
- 今後,第 3 相試験完遂後に通常の審議プロセスが行われる予定(11月以降)
※この記事は厚労省の公開審議資料を元に作成しています。
内容は2022年7月末日時点のものです。補足説明はクリックで展開します。
ゾコーバ「緊急承認」見送り
2022 年 7 月某日,某 S 社の新型コロナ治療薬ゾコーバ(エンシトレルビル,S-217622)の「緊急承認」が見送りとなりました。
これに関しては「待望の国産治療薬が潰された!」と失望してしまう様な声も聞きます。実際,まるで制度や審議過程に問題があるかのようなミスリーディングな報道も見かけます。
しかし今回の「見送り」は,特別不思議なことではありません。単に提出データが極めて貧弱であったため,ごく自然な審議結果として「これでは難しいだろう」という判断になった経緯です。
残念ながら,シンプルに
というだけのことです。非専門の方にもなるべく分かりやすくなるよう,この経緯についてまとめてみたいと思います。
ゾコーバの治験結果は?
では早速ですが,ゾコーバが「結果を出していない」とは,具体的にどういうことでしょう。
今回,主な審議対象となった治験は以下の通りです(▼)。
- 12歳〜70歳,無症状病原体陽性〜軽症の COVID-19 患者 428 人対象
- ランダムにゾコーバ内服 vs 偽薬(プラセボ)内服に割り付け
- 主要評価項目は「12症状合計スコア」
治験の結果は,以下のグラフとして公開されています(参考資料3,4)。
上記のグラフを見れば
ということは一目瞭然です。あえて込み入った説明も不要でしょう。
今回の428人の治験では「症状改善効果は示せなかった」。
実臨床で意味のある有効性の推定が困難だったので,現在提出されたデータを根拠に「緊急承認」はできない。
極めて真っ当な科学的判断としてそういう結論に至っただけのことです。
むしろこの結果(=第 II 相試験で主要評価項目未達)に反して承認されてしまっては,それこそ逆に「何か裏がある」と考えられてしまうレベルです。
- |第 II 相試験とは(▼)
薬理効果は示されている
なお,今回第 II 相試験では「抗ウイルス作用」という薬理的な効果を確認することも目的の1つでしたが,こちらに関しては達成されています。
ゾコーバ(エンシトレルビル)の SARS-Cov-2 に対する抗ウイルス活性は,ヒトのデータでもきちんと確かめられた,ということです。これは良いニュースですね。
ただそれだけ聞くと
ウイルス減らすならいいじゃない。抗ウイルス薬として承認したらだめなの?
という様に感じてしまう人もいらっしゃるかもしれません。非専門の方からすれば当然の疑問です。
この点についても少し補足させていただきます。
余命を全く延ばさない抗がん剤を使いたいか?
ここで少しウイルスのことから離れて,抗がん剤について考えてみます。たとえば私たちは
- 「腫瘍は小さくするが余命は全く伸ばさない」抗がん剤
があったとしたら,その薬を使いたいと思うでしょうか。
きっと
そんなもの使いたくはない。副作用も嫌だし…
と思われるのではないでしょうか。
抗癌治療の本質は,腫瘍サイズ縮小ではありません。(生活の質が保たれた)生命予後改善です。腫瘍サイズが小さくなっても肝心の寿命が伸びず,副作用に苦しむばかりで生活の質が下がるのであれば,その薬を使用する意義について議論の余地が出てくることは明白です。
今回のゾコーバ緊急承認見送りも,端的に言ってしまえば,同じ理屈によるものと言って差し支えありません。
- |抗がん剤の実例
- なおそんな抗がん剤があるものかと思われるかもしれませんが,実在します。臨床試験中の短期間に腫瘍サイズを一時的に小さくしたり維持したりすることは,なんとなく「よくしている感」がありますが,それはあくまで「画像データ」を一時改善(または進行抑制)させただけ。結局その人の本質的な治療(=生存期間の改善)に直接つながっているかは,その時点では分かりません。実際には細胞毒性などの副作用で正常組織にもダメージを与え,寿命を短くしてしまっている可能性すらあります。しかし生存期間改善まで確認していると治験のデータが揃うのは遅くなってしまいます。そこで,予後改善まで確認せずとも「迅速承認」という制度で仮免許を与えてしまうことがあります。がんは致命的な疾患で,ニーズが高いから,リスクを承知で使ってみましょう(=リアルワールド人体実験)というわけです。しかし市販後に必ず検証的な RCT を完遂させることが義務付けられており,結果を出さなければ承認は撤回されます。それが米国の迅速承認制度 accelerated approval pathway です。ただ実際,蓋を開けてみたら「やはり生命予後は改善できませんでした」という薬は複数誕生してしまいました。にもかかわらずその後も承認撤回が年単位で遅れた(=意味がないと分かってからも使われ続けた)経緯があり,医学界でも問題意識が共有されているところです。[PMID: 34497044]/ BMJ. 2021 Sep 8;374:n1959.
抗ウイルス薬には何を期待するか
つまり重要なのは「抗ウイルス薬を内服すること」の本質的な意義について考えることです。
それは「わざわざ検査をしなければ確認できないウイルス量」を減らすことではありません。抗ウイルス活性があることはあくまで前提条件です。重要なのはその先です。
その薬を飲むことで「データのみの改善」に留まらない「臨床的意義のある効果」が期待できるのか?ということが問題になるわけです。そのような本質的意義が示されないのであれば,それは生命予後を改善させない抗がん剤を飲むのと同じことです。
- |抗ウイルス活性はスタート地点
- そもそも抗ウイルス活性は実験室レベルで最初に確かめられることです。もちろん人体でも抗ウイルス活性を発揮できるか確かめることは必須ですが,前提条件に過ぎません。むしろウイルス量を減らす「だけ」でいいなら,薬の候補は無数にあります。実際,実験室レベルではあらゆる化学物質が実際に SARS-Cov-2 に対する抗ウイルス活性を示しています(人体で実現が難しいレベルの高濃度なら,イベルメクチンでも)。問題はきちんと本質的な効果を証明できるかどうか,また,有害事象のリスクと天秤にかけても十分な効果なのかどうか。です。
臨床的に意味のある効果
ここでいう「臨床的意義のある効果」が無いケースというのは,たとえば
- 症状改善効果がない
- 重症化予防(入院,挿管人工呼吸,死亡のリスク減少)効果がない
という様な状況を指します。
これでは「いかにウイルス量というデータ」を改善させようが,臨床現場で実感できるような「本質的な効果」がありません。
そもそもウイルス量の多寡それ自体は臨床上何の問題にもならないものです。放っておいても自然経過で減っていきますし,医療現場でウイルス量をこまめにフォローするようなこともありません(ウイルスの死骸を検出するだけであり無意味)。ですから消失までの期間が数日変わっても臨床上の影響はありません。
私たちが抗ウイルス薬を飲むのはなぜでしょうか。それは「早く症状を楽にしたい」「重症化を予防したい」からです。「ウイルス価を減らしたい」からではありません。
データを細かく確認しなければわからないような「差」は臨床現場では価値がないのです。これは臨床試験の基本のキとも言われる極めて重要な考え方です。
端的に言えば,
ということです。
- |症状改善というアウトカムの価値
- なお,もっと厳しいことを言えば「症状改善」も本来さほど価値のあるアウトカムではありません。特に症状消失までの差が1日程度しかないのであれば,その1日余分に対症療法薬(解熱薬や鎮咳薬)を使えば済むことだからです。ですから本当は「重症化予防」こそが最も本質的なアウトカムであり,これを満たせない薬剤の価値については慎重に考える必要があります。しかしオミクロン株はそもそも重症化率が低いうえ,今回の試験の対象者はリスク因子のない健康若年者を含みます。ワクチン接種率も高い本邦において臨床試験で重症化予防の「差」を検出するのは至難の技です。そのためいきなり「入院・挿管・死亡」といったアウトカムで比較するのではなく,まずは「症状」で最低限有意差を出す,というコンセプト自体は妥当だと思います。ただ,今回はその「有意差」以前に実データそれ自体の「差」が出なかったということです。
後付け解析で有意差を主張
またこれは少し専門的な話になってしまいますが,S 社は上記の結果を後付けで解析し直し,当初の主要評価項目であった12症状スコアではなく「呼吸器症状だけに限った5症状スコア」という評価項目を打ち立て有意性を主張しています。
しかしこれは後出しジャンケンでしかありません。審議ではこの点も問題視されていました。
これの何がまずいかというと,野球の試合後に「やっぱりヒット数とエラー数で勝負しましょう!そしたらこっちの方が強いんで!」と言ってる様なモノだと言えばイメージしやすいでしょうか。
この様な都合のよい「後出しジャンケン」は,HARK-ing だとか p-hacking だとか cherry picking と言って,結果の信憑性を著しく貶める行為です。
検定する「仮説」を何度も何度も入れ替えつづければいつか必ず p値が低くなる「仮説」を見つけ出すことはできます。しかしそれは「手元のデータセットに対して過度に適合した偏り」を一生懸命見つけ出すだけの行為で,母集団に一般化しにくくなることが知られています(=多重検定の問題)。
そのようなエラー(αエラー)を防ぐためには多重検定の補正が必要です。具体的には,有意水準とする p値を 0.05 ではなくもっと遥かに厳しい水準にし直すことが求められます。しかし,そうした補正もせずに有意性を主張したことに関しては,PMDAからも鋭い批判があったようです。
5症状スコアは臨床的に有意か?
またそれ以前に,上記のデータのグラフをみて,この12症状からいくつかピックアップして「有意差が出る組み合わせ」を見つけ出す行為に意味があるといえるのでしょうか。
そもそも 12 症状の個別の1つ1つが全然差を出していないのです。そこから都合のいい組み合わせを取り出したところで,数字遊びでしかありません。
また効果の定量にも問題があります。資料ではその「5症状合計スコアの6日目までの単位時間あたり変化量の最小二乗平均値」が実薬群 -2.97 vs プラセボ群 -2.56 (p=0.0164)と記載されていますが,この「0.4 の差」とは具体的にどの程度の効果量なのでしょうか?
仮にこれが統計的に有意だったとしても(※実際には多重検定の補正をしていないので有意とは取り難い),その 0.4 という効果量は「臨床的に有意」な差として実感できるようなものなのでしょうか。
たとえば降圧薬の試験で
新しい降圧薬は偽薬より 血圧を 1.5 mmHg 有意に降下させます! (p<0.01)
と言われても臨床的には無意味です。それと同じような構図に陥ってはいないでしょうか。後付け解析の「統計処理」に傾倒するあまり「効果量」という本質的な部分を見失ってしまっているように感じられます。
繰り返しになりますが,統計的に有意か(=今回の標本データだけでなく母集団に一般化しても効果がある程度期待できるか)どうかを判定する以前に,まず標本データ時点で「差がない」のです。本来であればこの段階で承認申請を行おうとすること自体,無理があると言わざるを得ません。
そもそも緊急承認とは
なお,ゾコーバ(エンシトレルビル)の治験はまだ終わっていません。 むしろこれから第 III 相試験(▼)という,最も本格的に薬の効果を検証するプロセスが進んでいくところです。
本来はこの第 III 相試験までキッチリ試験を行い,データを検証し,「十分な効果」が示されて初めて薬事承認されるというのが通常の審議プロセスです。
しかし 2022 年 5 月に法令改正があり「緊急承認」という新しい薬事承認プロセスが運用されるようになりました。そして今回議論されたのは「ゾコーバは緊急承認の対象になるか?」ということだったのです。要するに今回のゾコーバの審議は,そもそも従来のプロセスでは審議の対象にもなり得ない段階で行われたということです。
わざわざ新制度を適用し「大幅な前倒しをしてまで,効果の検証が不十分な段階で上市するほどの価値があるか?」そこが議論の争点でした。
結論はご存知のとおり「緊急承認は見送り」,つまり
ちゃんと第 III 相試験まで終わらせてもらって,通常の審議プロセスで検討しましょう
ということになっています。
なぜこのような結論に落ち着いたのか──もちろん「第 II 相試験ですら主要評価項目を達成できていないから」というのが大きいのですが──他のポイントについても少し取り上げてみます。
緊急承認の要件
「緊急承認」という新しい審議プロセスは,以下の状況において適用しうるということが明記されています。
- 緊急性:国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他(中略)を防止するため緊急に使用されることが必要
- 非代替性:当該医薬品の使用以外に適当な方法がない
- 有効性の推定:探索的な臨床試験(主に後期第 II 相試験を想定)において臨床的意義の認められた評価指標で一定の有効性が示されている場合など
- 安全性:効果に比して著しく有害な作用を有するなど医薬品として使用価値がないと推定されるものでないこと
今回,特に問題となったのは要件3(有効性の推定)で,その内情はこれまで述べてきた通りです。
しかし実は 要件2(代替性に係る要件)や要件4(安全性)においても,ゾコーバ「緊急承認」の意義には疑問が投げかけられました。
非代替性を満たさない
まずゾコーバが「非代替性」を主張することは難しいと言わざるを得ません。
内服薬としてはモルヌピラビル,パクスロビドに次ぐ3つ目ですし,プロテアーゼ阻害薬としてもパクスロビドに次ぐ2つ目で新規性がないからです。
作用機序が異なる薬剤の承認は医療現場に新たな選択肢を増やしますが,同効薬であれば,二番手は一番手と同等以上の効果か安全性の証明が求められるものです。これは国民の安全を担保するため至極当然なルールだと言えます。
ただ,モルヌピラビル・パクスロビドも,当初オミクロン株に対して治験が行われたわけではありません。対象者もワクチン未接種かつハイリスク者(肥満・高齢など)に限ったものでした。ですから2022年7月 現在,オミクロン株流行下でリスク因子の乏しい若年軽症者に投与する薬剤はありません。それは事実です。
Molnupiravir phase III NEJM2022; 386:509-520
これらの治験結果を拡大解釈し,リスク因子のない健康若年成人に安易に適応することは避けるべき(リスク/利益バランスがわからないこと)です。
その意味では確かに「ハイリスクでない人たちに使える薬はまだ1剤もない!」だから「この薬が承認されれば非代替性!」と主張することはできなくないかもしれません。
しかし,モルヌピラビルやパクスロビドはきちんと十分規模の第 III 相試験で重症化予防効果を示した上,正規のプロセスで上市されています。
いっぽうゾコーバは重症化予防・症状改善いずれにおいてもプラセボに対する優越性を示せていません。試験自体,第 II 相段階で,そのうえ主要評価項目は未達です。そのようなものを「代替性のない薬剤」として推すのは,PMDAとしてもやはり無理筋と言わざるを得なかったでしょう。
以下の内容は 2021.11.30 時点の公開データ(FDA審議資料)を元に作成しています モルヌピラビル(molnpiravir; MOV)は,COVID-19 に対する世界初の経口内服治療薬として期待されている新薬です。 1[…]
安全性の懸念
また安全性の懸念に関しても,すでに先行している他剤と比べ特別に利するポイントはありません。
- パクスロビド同様,併用禁忌薬が複数ある
- モルヌピラビル同様,催奇形性の懸念がある(妊娠可能性のある女性は禁)
つまりこの観点でもゾコーバは「代替不能」とは言えない薬剤です。
なお今回の臨床試験はリスクのない若年者も対象になっていましたが,こうした広い適応条件で上市された場合,催奇形性の問題にはより注意が必要となります。妊孕性のある年齢の若年女性が投薬対象に入ってくるからです。
妊婦への投与を禁忌となることは当然ですが,臨床現場では「妊娠していないはずだったがしていた」といったことも往々にしてあるため,注意を要します。
クスリはリスク
生理的でない化学物質を体に取り込む以上,あらゆる「薬」は「治療効果」のみならず有害事象のリスクを随伴します。まったく副作用のリスクなく使用できる薬剤は存在しません。
もし効果が推定できない状態で緊急承認し上市してしまい,後から「有効性がなかった」うえに「安全性に問題があった」と判明したら,ただの薬害になってしまいます。それまでに使った人の不利益はどう補填するのでしょうか。
緊急承認とは,たった百人そこそこのデータで重大な意思決定をするもので,かなり危険な橋を渡る枠組みなのです。
検証不十分な中で市場に出す医薬品として,それ相応の市販後安全対策と救済制度が必要となるはずですが,まだ1件目(かつ5月から施行されたばかり)ということもあり,どの程度保証されているのかも不透明です。
そのような危険性を孕む中,ゾコーバの審議が厳格かつオープン(審議資料全て一般開示 + youtubeで中継)に為され,不適切な国産贔屓などに流れなかったことは,誇りこそすれ批判するようなものではないと考えます。
まとめ
- 新型コロナウイルス治療薬ゾコーバは「緊急承認」見送りに
- 理由は主に以下の3つ(特に1つ目)
- そもそも治験で結果を出せていない上,後付け解析など禁じ手も
- 非代替性がない(3 剤目の内服薬,プロテアーゼ阻害薬としても2剤目)
- 安全性でも先行 2 剤に対し特に利する点がない
- 今後,第 3 相試験完遂後に通常の審議プロセスが行われる予定(11月以降)
私も日本の製薬企業には頑張ってほしいですし,すばらしい薬をつくって世界の診療に貢献してくれたら誇らしく感じます。何より,良い薬なら一刻も早く日本でも普及してほしいです。多くの現場の医師はそう考えているはずです。
しかし科学的裏付けが不十分なまま「国産だから」という理由だけで上市してしまうのでは,およそ科学的態度とは言えません。世界からも「そういう国」として見られてしまうかもしれません。
その点で,審議がキッチリ科学的な観点から行われたことにはホッとしているところもあります。ひきつづき粛々と第 III 相試験を進めていただき,その結果を座して待ちたいと思います。
おわりに:情報との向き合い方
- ゾコーバの緊急承認見送りに関しても,多くの誤った情報や,明らかに前提知識不足の報道を目にしました。ニュース番組や インターネット上では COI を疑わせるような発言をする専門家もいますし,不適切な情報解釈を拡散してしまうインフルエンサーもいます。
- 専門でない人にとって,氾濫する情報から正しいものを選び取ることは容易ではないでしょう。
- また SNS には多くの専門家がいますが,前提知識が違う人同士の対話は難しいですし,なにより短文のやり取りでお互いの擦り合わせをすることは困難です。それよりも自分に近い意見の人と同調していた方が楽ですし,心地もよいでしょう(これは医療者側にも言えることです)。
- ただあまりにもミスコミュニケーションがある状況は好ましくないですし,メディアの方々には是非うまく情報を伝える架け橋になっていただきたいと思います。
- その点で明らかに公開審議資料にも目を通していないような報道が拡散されていることは悲しく思いますし,この記事を書くに至る最大の動機でした。
- まず医療関係ニュースを担当する記者の方々には最低限「代用エンドポイント」「ソフトエンドポイント」といった教科書的な問題を理解しておいていただきたいと切に願います。
- また非医療職の方々におかれましては,医学に関し何か極端な意見を見つけたら,必ず逆のポジションの専門家の発言にも注意を払っていただきたいと思います。専門家個人に影響されすぎるのではなく,専門家複数人のクラスターを満遍なく眺めるということです。このブログもそんな中の1つとしてぼんやり付き合っていただければ幸甚です。
健康情報・医療情報は本当に玉石混交です。 不適切情報や誇大広告の問題は以前からありましたが,COVID-19 の流行はこの問題をさらに痛々しく明確なものとしました。 SNS の流行に伴い,私たち自身のヘルスリテラシー向上が求められていま[…]