【寄稿】「死にたくなければ女医を選べ」は正しいか?【地域医療ジャーナル】

お知らせです。

地域医療ジャーナルに寄稿

このたび大変ありがたいことに光栄なお誘いを受けまして,「地域医療ジャーナル」様に寄稿をさせていただきました(▼)。

note版もご用意いただいています(▼)。

note(ノート)

地域医療ジャーナル 2021年9月号 vol.7(9) 記者:kei_e-cats 医師 はじめに自己紹介 はじめま…

いずれも半分程度は無料で読むことができます。全文読むには,前者は読者登録が必要(初月無料・以降毎月 275 円)です。後者は買い切り 100 円です。前者は私以外の著者の記事もバックナンバーも全て読めるので,お得です。

論文を読んで解説した記事です

この論文が扱った仮説は

女性主治医の方が,患者死亡は少ないのか?

です。現時点でフリーアクセスとなっている原著論文を取り上げてみました。

“Variations in Processes of Care and Outcomes for Hospitalized General Medicine Patients Treated by Female vs Male Physicians”|JAMA Health Forum. 2021;2(7):e211615.

論文の概要

扱ったのはカナダの病院で行われた観察研究です。PECO は以下の通り。

対象者 (P):ER 経由で一般内科に入院し,入院期間 30 日以内であった患者

曝露 (E):女性医師が主治医


対照 (C):男性医師が主治医


アウトカム(O):患者死亡,入院日数,ICU入室,30日以内の再入院,施行検査(血液検査,投薬,画像検査,内視鏡,アンギオなど)

結果は以下のようになっていました。

  • 女性医師の診療を受けた患者の方が低い院内死亡割合(4.8% vs 5.2%)
  • ただし,この差は患者特性で補正を行っても持続したが,主治医の特性や診療プロセスの違いで補正を行うと,統計的に有意ではなくなった
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この結果をどう読むか?

この観察研究の結果とどう向き合うか,以下の 5 つの観点で解説しています。

  1. 仮説検証ではなく仮説提唱である
  2. 背景因子が揃っていないため,データの補正が必要
  3. どのような因子でどう補正するかにより結果は変わりうる
  4. 提唱された仮説は RCT で検証可能か
  5. その仮説が真だとして,どの様な介入が可能か

詳しくは直接記事を読んでいただければ幸いです!

note(ノート)

地域医療ジャーナル 2021年9月号 vol.7(9) 記者:kei_e-cats 医師 はじめに自己紹介 はじめま…

寄稿してる場合か

なお

ただでさえ遅筆な私が,外部の媒体に寄稿なんてしてる場合なのか?

という声が自分の中で響いてはいるのですが😅,とりあえず可能な範囲で不定期連載をさせて頂こうと思っています。

あっさり目に論文を読んで,あまり長文にならないよう私見や漫談を付け加えるような記事を書けたらいいかな…と。

また地域医療ジャーナルの方もよろしくお願いいたします。

などと言いつつ初回は普通に長文になってしまって全然「あさ読み」感がなかったのが反省点です。もう少しコンパクトにまとめるようにしたいと思います。

余談

ところで観察研究を読むのって難しいですよね…。背景因子が揃っていないせいで統計処理がメチャクチャ煩雑になるので,RCT と比べて必要な知識量が半端なく多くなります。

ただ,そもそも仮説生成型・仮説提唱型の研究に過ぎないと割り切ってしまえば,あまり統計手法に深く踏み込む必要はないのかもしれません(臨床家としては)。

臨床現場の医療者が批判的吟味のスキルを高める優先順位としては

  • まず仮説検証型の論文(RCT,第 III 相試験)
  • 次にシステマティックレビュー & メタ解析
  • 最後に観察研究

かなと勝手に思っています。

観察研究とは程よい距離感で付き合っていきたいです。

合わせて読みたい

この記事では,医薬品に関するリテラシーとして必須知識である 「仮説検証」と「仮説探索/提唱」の違い について解説します。 「統計的に有意」は等価ではない 医学研究には多くの種類がありますが,ほとんどの研究で最終的に〈統計的に有意[…]

[おすすめ本紹介]

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タイトル通り「医学論文を現場でどう応用するか?」迷える臨床家のためのユーザーズガイド。Tips 集のような構成で,どこからでもつまみ読みできます(通読向きではない)。医学論文の批判的吟味を学ぶにあたり 1 冊だけ選ぶならコレ,という極めて網羅性の高い一冊です。著者 Gordon Guyatt 氏は “EBM” という言葉を作った張本人。分厚い本ですが,気軽に持ち歩ける Kindle 版はオススメです。邦訳版もあります。

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