【寄稿】アデュカヌマブはどの程度「効く」か?〈1〉多重検定の問題

お知らせです。

地域医療ジャーナルに寄稿

地域医療ジャーナルの 12月号に寄稿させていただきました。

note版もご用意いただいています(▼)。

note(ノート)

地域医療ジャーナル 2021年12月号 vol.7(12) 記者:kei_e-cats 医師 こんにちは,エビカ…

いずれも前半部分は無料で読むことができます。全文読むには,前者は読者登録が必要(初月無料・以降毎月 275 円)です。後者は買い切り 100 円です。前者は私以外の著者の記事や,バックナンバーも全て読むことができます。

今回のテーマ

今回取り扱ったテーマは,タイトル通り

アデュカヌマブはどの程度効くのか?

です。

当ブログでも散々書き散らしたネタの焼き直しかい!と思われるかもしれませんが…汗

ただ一応,読者層の違いを意識してはいます。

地域医療ジャーナルの購読者は業界の方々の占める割合が高く,医学文献リテラシーの高い方々がほとんどであると思われますので,今回は元データの細部に深く突っ込んでいます。

データの細部を吟味する記事

論文化されていないデータを FDA審議資料 と製薬会社プレゼン資料(FDAページに公開)から図表などをまとめた直すのは大変な作業でした。

結果,もはや「あさく読む」という当初のコンセプトはどこへやら……日本語論文なのではないかという文量になってしまった点は反省しています。

この記事(▼)をわかめスープ🥣とすると,寄稿した記事は
マシマシ ウマ汁こってりマシライス🍜🍚くらいの重量になってます。

合わせて読みたい

この記事は 2021 年 6 月時点のデータを元に作成したものです 2021 年 6 月 7 日,FDAによってアデュカヌマブという新しい「アミロイドβプラーク減少薬、、、、、、、、、、、、、」が承認(※条件付きの迅速承認)されました。 […]

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記事の構成

記事の構成としては

  • 前半:治験データを図表化して総括
  • 後半:多重検定の問題にフォーカス

となっています。

前半部分(無料公開)で,アデュカヌマブの治験データを幅広く網羅しています。後半は少し統計的に突っ込んだ話をしています。

いずれも当ブログではあえて深く掘り下げなかった部分です。

アデュカヌマブの成績の詳細に興味があった方は,前半の無料公開分だけでも読んでいただけたら,相当クリアに risk/benefit をご理解いただけるのではないかと思います。

おそらく無料で読める日本語の記事としては,最も詳しい類だと自負しています。

note(ノート)

地域医療ジャーナル 2021年12月号 vol.7(12) 記者:kei_e-cats 医師 こんにちは,エビカ…

余談

ところで,なぜ私が日本で承認すらされていないこの薬を何度も取り上げるかというと,承認された場合に臨床現場へ与える影響が計り知れないと感じているからです。

日本が超高齢社会である以上,日常診療と「認知症」は切っても切り離せません。この薬剤が承認された場合,全ての内科医に多かれ少なかれ関係する問題となることが見込まれます。

そして,臨床家が「自分が出すかもしれない薬」の第 III 相試験に目を通しておくのは必須のプロセスです(たとえ論文化されていなくとも)。

最低限 RCT くらいは見ておかなければ,よりヘテロで複雑なリアルワールドの目の前の患者さんに対して,

投与の〈益〉は〈害〉をきちんと上回る見込みか?

と考えること自体できません。

アデュカヌマブを出してください!

と訴えて受診される患者さんに,薬を出すにしろ出さないにしろ,その理由をきちんと説明できる必要があります。

日本での承認は不透明

日本では現在審議中で,承認されるかどうか,また承認されたとしてどのような限定条件が付記されるかどうか不透明ではあります。

しかし,承認された場合の大きな影響を踏まえ,臨床家としてしっかり risk/benefit は見極めておきたいものです。

私の学習録を共有することで,同じように悩まれる臨床家のかたがたが参考にして頂ければ幸甚です。

次回は代用アウトカムの問題を

というわけで,地域医療ジャーナルへの寄稿は引き続きこのアデュカヌマブのデータを教材にしていきます。

次回以降,

  • 「代用アウトカムで迅速承認」の問題
  • 「一般化可能性(外的妥当性)」の問題
  • risk/benefit,cost/benefit の問題

などについて詳しく考えていきたいと思います。

次回の寄稿時もまたお付き合い頂けたら幸いです。

[おすすめ本紹介]

Users’ Guides to the Medical Literature


タイトル通り「医学論文を現場でどう応用するか?」迷える臨床家のためのユーザーズガイド。Tips 集のような構成で,どこからでもつまみ読みできます(通読向きではない)。医学論文の批判的吟味を学ぶにあたり 1 冊だけ選ぶならコレ,という極めて網羅性の高い一冊です。著者 Gordon Guyatt 氏は “EBM” という言葉を作った張本人。分厚い本ですが,気軽に持ち歩ける Kindle 版はオススメです。邦訳版もあります。

医学文献ユーザーズガイド 第3版


表紙が全然違いますが「Users’ Guides to the Medical Literature (JAMA)」の邦訳版。医学文献を批判的吟味するためのTips集としてかなりの網羅性を誇る代表的な一冊です。唯一の欠点は Kindle版がないこと(英語版はある)と,和訳が気になる部分が結構あること。2つでした。原著とセットで手に入れると最強の気分を味わえます。鈍器としても使えます

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