【告知】標準誤差とは何か?標準偏差との違い・使い分けの解説動画を公開

告知

例によってブログ側での告知が遅くなってしまいましたが,医療統計の解説動画を Youtube に up しました。

今回のテーマは

標準誤差とは何か?標準偏差との違い・使い分けは?

です。

標準偏差と標準誤差

標準誤差 SE というのは,結構複雑な概念です。

まず,そもそも背景知識として以下を十分理解していなければなりません。

標準誤差を理解するために必要な背景知識
  • 「推測統計」の考え方
  • 「標本平均」から「母平均」を推測する手順
  • 「中心極限定理」
  • 「分散」「標準偏差」とは何か
  • 「正規分布」とは何か

しかも,これらの知識が有機的につながっていなければ,概念そのものをうまく咀嚼することすらかないません。

そのため初学者がつまづきやすいポイントの1つで,数式ナシ系の安直解説本では大抵,説明が放棄されています。

しかしどんな医学論文でも100%あらわれる〈95 %信頼区間〉という概念を正しく理解するため,〈標準誤差 SE〉の理解は超必須事項です。

そこで,この「難しいけどめちゃくちゃ基本的な概念」のイメージをうまく伝えられるよう,渾身の力をこめて動画を作りました。

動画だからこそ,数式ナシでもある程度のイメージを伝えることができるものができたのではないかと思っています。

動画の構成

動画の構成は以下の通りです。

動画の構成
  • 前回の復習|推測統計とは?
  • 用語の整理|母平均・標本平均
  • 中心極限定理(サイコロ・コイン・血圧の具体例)
  • 母平均を推定するには
  • 「標準誤差」の定義
  • 「標準誤差」と標本分布
  • 「標準誤差」を決めるもの
    • 要素1:母集団のバラつき σ
    • 要素2:サンプルサイズ n
  • 「標準誤差」と「標準偏差」の違い
  • 実際の論文の例
  • 今回の結論
  • おまけ:標準誤差は標準偏差の1種
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前回の動画との連続です

なお,この動画は以前の「推測統計とは何か?」についてまとめた動画の内容が基本知識となっています。

また「標準偏差 SD」についても既知のものとして扱っています。

標準偏差 SD」の解説動画はコチラ

臨床家にとっても外せない知識

標準偏差 SD もしかりですが,標準誤差 SE ともなると,一般に臨床家の中での理解度は低いような印象があります。標準誤差について理解していなくても「臨床現場は回せる」ので,無理もないことです。

しかし,これらの知識がわかっていないということは,結局のところ〈95 % 信頼区間〉の意味や限界もほぼ理解できていないということになります。

それでは医学論文のアウトカムを正しく理解しているとは言えず,統計リテラシーとしては今ひとつな状態です。

ガイドラインや UpToDate を見ながら現場を回すことには何の不自由もないでしょうが,都合のよい論文データや製薬会社のパンフレットは鵜呑みにしてしまうかもしれません。

それではやっぱり寂しいので,今回の動画でリテラシーをアップグレードしちゃっていただければ,それに勝る喜びはありません。

チャンネル登録も是非!よろしくお願いいたします 🙇‍♂️🙇‍♀️

次回予告

次回は,今回の標準誤差 SE の話に引き続き,

区間推定・95%信頼区間の意味

といった内容を掘り下げたいと思っています。

またチェックしていただけたら幸いです。

なお,基本概念のおさらいは一旦この辺りで止めて,今後は実際の論文の批判的吟味のポイントにフォーカスを当てた動画を増やしていきたいと思います。その後また odds と risk と hazard の違いや,rate と ratio と proportion の違い,といった内容も扱いたいと思っています。現状月 1 未満のペースなので,そこまで辿り着くのはいつになるやらという感じですが…😅

余談:過去イチ難産でした

ちなみに今回の動画ですが,圧倒的に過去イチの難産でした。

数式ナシというのも結構なハンデで,動画だからこそ力技でなんとかイメージを伝えられる構成にできたという感じです。

共同制作者の @medibook 氏と共に何度も原稿を修正しつつ,なんとかかんとか,渾身の力を込めて産出した感じです。吐血しながら,会陰部裂傷しながらのお産でした。

なお数理的背景の補足説明は,共同制作者がブログで行なっていますので,興味のある方は是非…

脳内ライブラリアン

こちらの記事に書くのをしばらく忘れていましたが、Youtubeの動画を更新しました。 youtu.be 今回のテーマは『…

数式アレルギーの方は開かないことをお勧めします(ニッコリ)

補足:標準誤差の定義について

なお,動画中では割愛していますが,初学者でない人にとっては一部モヤっとする解説になってしまっているかもしれない部分があり,その点について補足します。

上記の動画では

標準誤差 SE = 標本平均の確率分布(=正規分布)の標準偏差
$$ SE=\frac{\sigma }{\sqrt{n} } $$
※ σ=母集団の標準偏差,n=標本サイズ

という解説をしていますが,厳密には母集団の分散(σ2)も母集団の標準偏差(σ)も,真の値を知ることはできません。

そこで,上式のσの部分は,標本の標準偏差(s)で推定し代用することになります。

つまり,厳密に上記の意味での〈標準誤差 SE〉を算出することは,事実上ほぼ不可能だということです。そのため結局〈標準誤差の推定値、、、〉を使うことになります。要するに以下のものを標準誤差として代用するわけです。

$$ \widehat{SE} =\frac{s}{\sqrt{n} } $$
※ SEハット=標準誤差の推定値,s=標本の標準偏差,n=標本サイズ

実際の運用で使うのはこの \(\widehat{SE}\) の方になるので,初めからこちらのことを〈標準誤差 SE〉として解説している教科書もあります。

うーん…ややこしいですね💦

どちらを SE と呼称するかには,派閥があるようです。

動画中ではその辺りを絶妙にちょろまかした説明になっていますが,初学者の方向けの動画ということで,ご容赦いただければと思います。

というか,私も深入りできません…

[おすすめ本紹介]

Users’ Guides to the Medical Literature


タイトル通り「医学論文を現場でどう応用するか?」迷える臨床家のためのユーザーズガイド。Tips 集のような構成で,どこからでもつまみ読みできます(通読向きではない)。医学論文の批判的吟味を学ぶにあたり 1 冊だけ選ぶならコレ,という極めて網羅性の高い一冊です。著者 Gordon Guyatt 氏は “EBM” という言葉を作った張本人。分厚い本ですが,気軽に持ち歩ける Kindle 版はオススメです。邦訳版もあります。

医学文献ユーザーズガイド 第3版


表紙が全然違いますが「Users’ Guides to the Medical Literature (JAMA)」の邦訳版。医学文献を批判的吟味するためのTips集としてかなりの網羅性を誇る代表的な一冊です。唯一の欠点は Kindle版がないこと(英語版はある)と,和訳が気になる部分が結構あること。2つでした。原著とセットで手に入れると最強の気分を味わえます。鈍器としても使えます

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