【寄稿】アデュカヌマブはどの程度「効く」か?〈3/終〉risk/benefit バランスとコスト問題

告知です!
毎度のことながら,告知が遅くなってしまっていますが…😅

地域医療ジャーナルへ寄稿

地域医療ジャーナルの 3 月号に寄稿させていただきました。

地域医療ジャーナル

今回も前回の記事に引き続き,認知症新薬のアデュカヌマブの効果は,どの程度期待できるのか?について考えていきたいと思います…

note版もご用意いただいています(▼)。

note(ノート)

地域医療ジャーナル 2022年3月号 vol.8(3) 記者:kei_e-cats 医師 今回も前回の記事に引き…

いずれも前半部分は無料で読むことができます。全文読むには,前者は読者登録が必要(初月無料・以降毎月 275 円)です。後者は記事単発で,買い切り 100 円です。

今回のテーマ

今回取り扱ったテーマは,前回・前々回に引き続き

アデュカヌマブはどの程度効くのか?

です。

連載第1回の記事では,アデュカヌマブの第 III 相試験の実データを詳しく確認し「多重検定の問題」について詳しく掘り下げました。

そもそも本当に有意、、なのか?〔統計学的に有意〕という言葉は本来どういう意味なのか?という根本的な問題を考える記事でした。

連載第 2 回の記事では,代用アウトカムで迅速承認、、、、してしまうことに関する問題について詳述しました。

過去に「腫瘍のサイズ減少」や「無増悪生存」で迅速承認、、、、されたあと「生存期間を伸ばす」という最重要アウトカムで有意差を示せなかった新規抗がん剤たちは,市場でどのような扱いを受けたでしょうか。悲しいことに,その後もダラダラと処方され続けたのでした。ガイドラインの改訂が遅かったからです。BMJ 2021;374:n1959

連載第3回・最終回となる今回は,以下のポイントについて詳述しました。

  1. 外的妥当性(一般化可能性)の問題 ── 日本でも使えるデータか?
  2. risk/benefit バランス ── 集団の期待値と個々人の効果の違い
  3. cost effectiveness ── コストに見合った効果を期待できるのか?

こうしてみると,やはりアデュカヌマブの問題は「医療統計リテラシーの教材」としてみると大変学びが多いものだと感じます。

考えるべきことが本当にたくさんあります。

地域医療ジャーナル様では読者層として一定程度の知識のある方々を想定しているため,なかなかにカタい内容になってしまっていますが,一般向けには当ブログでも簡潔にまとめた記事があります。あわせてお読み頂けたら嬉しいです。

合わせて読みたい

この記事は 2021 年 6 月時点のデータを元に作成したものです2021 年 6 月 7 日,FDAによってアデュカヌマブという新しい「アミロイドβプラーク減少薬、、、、、、、、、、、、、」が承認(※条件付きの迅速承認)されました。[…]

今後の認知症新薬に注視

アデュカヌマブに関連した地域医療ジャーナルへの寄稿は,今回で終了となります。

本邦では一旦承認審査が先送りとなり今後の見通しが不透明なままですが,今後も類似機序の薬剤が後続するものと考えられます。

以下の観点は変わらず持ちながら,動向を注視してきたいと思います。

  • 本当に意味のあるアウトカムとは何か?
    • 「アミロイドPET画像所見の改善」は適切なアウトカムか?
    • 私たちは MMSE や CDR-SB で何点程度進行が「緩やかに」なれば臨床的意義を実感できるか?
    • そのためにはどこまでのリスクやコストを容認できるか?
  • そもそもアミロイドβは治療標的として適切なのか?
    • 別の機序での創薬は進んでいるか?

[おすすめ本紹介]

User’s Guides to the Medical Literature


EBMを学ぶにあたり 1 冊だけ選ぶとしたら間違いなくコレ,という一冊です。著者 Gordon Guyatt 先生は「EBM」という言葉を作った張本人。かなり網羅性が高く分厚い本ですが,気軽に持ち歩ける Kindle 版はオススメです。邦訳版もあります。

医学文献ユーザーズガイド 第3版


表紙が全然違いますが「User’s Guides to the Medical Literature (JAMA)」の邦訳版です。一生言い続けますが,EBMと言えばこの1冊です。唯一の欠点は,Kindle版がないこと(英語版はある)と,和訳が気になる部分が結構あること。2つでした。原著とセットで手に入れると最強の気分を味わえます。鈍器としても使えます。

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