- 2021年8月24日
「82%リスク減?」読売新聞で話題のイベルメクチン観察研究
Cureus 誌に掲載されたイベルメクチン予防内服の観察研究(@インド)を吟味しました。この論文を根拠に「イベルメクチンを日本でも処方できるようにすべき」と主張することはできるでしょうか。
Cureus 誌に掲載されたイベルメクチン予防内服の観察研究(@インド)を吟味しました。この論文を根拠に「イベルメクチンを日本でも処方できるようにすべき」と主張することはできるでしょうか。
あらゆる研究で幾度となく主張される「有意」 significant という言葉は,そのすべてが等価というわけではありません。それが仮説「検証的」なものなのか,仮説「探索的」「提唱的」なものであるかは,必ず区別することが重要です。
アデュカヌマブは FDA の迅速承認を受け,「本当に効くかどうか市販後に確認」という方針になりました。しかし「効かない薬」が市中に出回ることのリスクは多大です。もし第 IV 相試験の結果「害の方が重大」というような結論になってしまった場合,その数年間の間に生じる負の影響は計り知れません。
アデュカヌマブの 2 つの第 III 相試験は,いずれも無益性解析の結果「途中撤退」となった失敗治験でした。最終的にはそれらの「後付け解析」で承認申請までこぎつけられたわけですが,他の類似薬剤は軒並み治験撤退となっています。この現状から考えるべき問題は何でしょうか。
現時点で「アルツハイマー病の治療薬」であるという証明が不十分なまま,アデュカヌマブは「アミドイドβプラーク減少薬」として FDA に迅速承認されました。この薬剤に過剰な期待を覚えてしまう前に,私たちが知っておくべき12の重大な問題点について箇条書きでまとめます。
信頼性の高いエビデンスとされる RCT ですが,限界を知らずに結果を鵜呑みしてしまうと危険です。特に大きな問題となりやすい5つの限界についてまとめます。
エビデンスの王様とされるランダム化比較試験 RCT の特長をまとめます。ポイントは「バイアスのリスクが低い」「交絡因子の影響を受けにくい」ということです。
本邦の3つの迅速承認制度 ─〈特例承認〉〈先駆け審査指定制度〉〈条件付き早期承認制度〉─ と,米国の〈緊急使用許可〉EUA についてまとめました。審査期間を短縮することは,非常に大きなリスクを背負うことでもあり,制度の運用には慎重性が強く求められます。
COVID-19 への効果が期待されるイベルメクチンですが,早期からその有効性を必要以上に喧伝する風潮が目立ちます。今回は ivmmeta.com というウェブサイトで行われている「極めて危険なメタ解析」を題材に,メタ解析の読み方について勉強したいと思います。