ブログを始めて1年|振り返りと今後の展望

2020 年 の 7 月にこのブログを開始して,早くも1年が経過しました。

当初は私自身も3日坊主で終わるのではないかと思っていたのですが,意外とコツコツ続けることができています。

せっかくなので,日記を見返しながら少しこの1年を振り返ってみたいと思います。

完全に余談ですが, Google スプレッドシートを用いた日記は結構オススメのライフハックです。なにしろ 3日坊主の私が人生で初めて1年以上日記を書き続けられたので… いずれこのブログでも取り上げたい話題です!

ブログを開始したキッカケ

ブログでアウトプットを始めよう,と思ったキッカケは複数あったように思います。

当時の色々な心理環境要因
  • COVID-19 に関するメディア報道にいつも疑問を感じ悶々としていたこと
  • ちょうど真面目に医療統計を勉強していたタイミングだったこと
  • アウトプットの重要性を説く書籍をたまたまその時期よく読んで(Audiobook で聴いて)いたこと(※アウトプット大全など)
  • プライベートで大きな変化があったこと
  • 親しい友人や先輩に「ブログ向いてるんじゃない?」と勧められたこと
  • まわりですでに始めている人がいたこと
  • 何か新しいことを始めたいとちょうど思っていたこと

本当に最初は「ただの勢い」で,当直明けにサーバー契約💪して WordPress ぶち込んでテンプレ購入してカスタマイズを開始しました。

もともと Web 系の最低限の知識はあったので,いざ一歩を踏み出してしまえばその後は割とスムーズだったと思います。

ただ,どんなテーマで記事を書くかはなかなか決まらず,結構迷走していました。

初期の迷走

実は最初は,かなり軟派な「雑記ブログ」みたいなものを想定していました。

特に考えていたのは,子育てネタや時短アプリの紹介,家電の紹介,書籍の紹介などでした。

ところがもともと遅筆なので,そういう「さほど詳しくもない領域」は本当に本当に筆が進みませんでした😅。

いわゆる input 不足の状態で,とても output をコンスタントに続けられるものではないなと痛感しました。

とはいえ一応,いまでも本当はそういう雑多なネタも書いてみたいと思ってはいます。そのうち書くかもしれません。ただ今後もやはりメインコンテンツにはなり得ないのではと思います。

なお,当初はお気楽で軟派な場所にしたい気持ちが強くて,賑やかし用のキャラクターまで用意してみたのですが,いまだにうまく使えていません😅

ぜんぜん出番がないな?

アビガン事件に感化

結局この一年,当ブログは主に自分の学習した医療統計ネタを output する場所になっていました。ゴリゴリのニッチ分野ブログですね😌

ただこれは本業だからということ以外にも,世相からかなり影響を受けた結果だったと思います。

と言いますのも,ちょうど一年前は,COVID-19 の感染拡大をめぐる問題だらけの報道で,世間が大混乱に陥っている時期でした(今もですが,特に去年は酷かったと思います)。

たとえば連日のようにアビガン®︎(ファビピラビル)が取り沙汰されていたことはいまだ記憶に新しいです。

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アビガン事件とは

少し話がそれますが,アビガンについて補足させていただきます。

アビガン®︎は,そもそも当初の適応疾患である抗インフルエンザウイルス薬としてもプラセボと比較した優越性を示せなかった経緯のある薬剤です。

一方で投与リスクは高く,催奇形性や胎児毒性などの重大な危険性があるとされ,投与された人は男性であっても避妊を指示されます。

参照:アビガン®︎添付文書;「臨床試験」の項を見ていただくと,プラセボと比較して優越性を示せていないこともしっかり明記されています。

そのように risk/benefit バランスが極めて悪い ──というより,benefit 自体に疑問符がつく薬剤であるにもかかわらず,なぜか「新型インフル流行など有事の備蓄用」として本邦に限ってのみ異例の承認が与えられている。

あまりに特例的すぎて,一言で言えば「ナゾの怪しい薬剤」です。

当然ながら,当時まったくの新興感染症であった COVID-19 に対し,まともな RCT での検証もされていませんでした。「現場でスデにアビガンを投与されちゃってる COVID-19 症例の経過をフォローする」という観察研究、、、、を行なっている大学はありましたが……

「藤田医科大学アビガン「観察研究」中間報告における死亡者を踏まえた意見書 (新型コロナウイルス感染症に関して)」を提出・公表
── 薬害オンブズパースン会議 2020年 7月 2日

このような怪しい薬を,vitro(試験管内実験)で効果が期待されたからと言って,risk/benefit の議論もナシ,二重盲検 RCT による検証もナシ,でいきなり COVID-19 患者にリアルワールドで投与するということを,首相自ら国家をあげて進めようとする姿には恐怖を感じました。

特に,その当時よく報道で使われていたのが

薬を入れた,よくなった,だから薬が効いた!

といういわゆる「3た論法」でした。

そのようなリテラシーの欠けた議論が現代においても罷り通っていることに,軽い絶望を感じていたことを覚えています。

そうした世相に影響を受け,

全国民がヘルスリテラシーや医薬品リテラシーを高められるようなコンテンツを作りたい😡😡

という気持ちを強く抱いたことがその頃の大きなモチベーションになっていました。

補足|アビガンのその後
その後,アビガンの RCT は1つ完遂していますが,単盲検試験,軽症者におけるPCR陰性化を 2.7 日程度早めるのみで臨床的意義に疑問,といった問題があり PMDAはまだ承認に至っていません。現在はハイリスク群に絞った二重盲検 RCT を recruit 中のようで,結果を待ちたいところです ── 富士フィルム 2021.4.21 新型コロナウイルス感染症患者を対象とした新たな臨床第III相試験を国内で開始

文字数が多すぎた時期

その後は,医療統計に関する記事ばかり書きつづけて今に至ります。

当初は文字数の適正域が掴めていなくて,1記事2万文字レベルがザラでした。

今見返してみても,初期の記事は本当に1つ1つが長すぎてゾッとします… 少しずつ分解作業を進めたいと思っています😅

特にこれ(▼)なんかは相当な時間をかけて書き上げた記事ですが,今読んでも大変な長さです。とんでもない。

気合い入りすぎた例

この記事は医療関係者の方向けです 製薬会社さんが配る薬剤パンフレットを見ると,立派なジャーナルに載った 立派な RCT の結果が必ず載っています。そしていつも「いい感じにまとまった図表」がバンと貼ってあり,大変目を引きます。 どうやら統[…]

感情も暴走していたので,とにかく分割リライトしたい気持ちでいっぱいです。なるべく早めに分割したい‥。

半年〜1年で少しずつ慣れ

その後,新年に入ってから,少しずつコツが掴めてきて,あまりに長すぎる記事は分割することを覚えました(ようやく…)。

ありがたいことにアクセス数もじわじわ増えており,記事を書くことのモチベーションは上がっています。

特にアデュカヌマブに関しては世間の関心度も高いタイミングで投稿できたためか,多くのアクセスをいただいています。

ピーク時は twitter 経由で1日 1万 PV 近く頂いた日もありました。普段の100倍以上の爆発力で,SNSのパワーを感じました。わずか3日ほどで平常運転に戻りましたが…笑

こんなニッチなネタでバズることもあるのかと大変驚きましたが,一定のニーズがあるということがわかったのは嬉しい出来事でした。

当初は想定読者の設定がガバガバすぎたわけですが,現在のところ,やはり「きちんとデータを読みたいと考えている人」が読者様のメインの層かなと考えています。

そういう記事を書き続けるのは大変なことですが… 読んでよかったと思っていただけるような記事をコツコツ書いて行けたらなと思っています。

現在のアクセス1位記事

この記事は 2021 年 6 月時点のデータを元に作成したものです 2021 年 6 月 7 日,FDAによってアデュカヌマブという新しい「アミロイドβプラーク減少薬、、、、、、、、、、、、、」が承認(※条件付きの迅速承認)されました。 […]

今後の展望

1年継続してみて,今後の展望としては,以下のように考えています。

短期的プラン
  • 過去記事の分割 & リライト
  • 尤度比の解説記事をup(概ね下書き済み)
  • 「本当のエビデンスピラミッド」の解説記事をup(画像は作成済)
  • Youtube 動画での解説 は最低月 1 更新を継続(次回は推測統計)
中期的プラン
  • RCT の読み方シリーズを完結させる(長い道のりですが…)
  • 実際の論文の批判的吟味記事をコツコツ継続的にアップ
    (※外部寄稿とさせていただく可能性)
  • 本当は子育てネタ・ライフハックネタ・家電紹介・書籍紹介など雑多なネタも書きたい気持ち…

今後もできるかぎり

事実ファクト」と「意見オピニオン」を分離する

をテーマに中立的な記載を心がけたいと思っています。

今後とも末長く,よろしくお願いいたします!

[おすすめ本紹介]

Users’ Guides to the Medical Literature


タイトル通り「医学論文を現場でどう応用するか?」迷える臨床家のためのユーザーズガイド。Tips 集のような構成で,どこからでもつまみ読みできます(通読向きではない)。医学論文の批判的吟味を学ぶにあたり 1 冊だけ選ぶならコレ,という極めて網羅性の高い一冊です。著者 Gordon Guyatt 氏は “EBM” という言葉を作った張本人。分厚い本ですが,気軽に持ち歩ける Kindle 版はオススメです。邦訳版もあります。

医学文献ユーザーズガイド 第3版


表紙が全然違いますが「Users’ Guides to the Medical Literature (JAMA)」の邦訳版。医学文献を批判的吟味するためのTips集としてかなりの網羅性を誇る代表的な一冊です。唯一の欠点は Kindle版がないこと(英語版はある)と,和訳が気になる部分が結構あること。2つでした。原著とセットで手に入れると最強の気分を味わえます。鈍器としても使えます

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