- 2021年6月19日
アデュカヌマブが承認申請前から抱えていた3つの重大な問題
アデュカヌマブの 2 つの第 III 相試験は,いずれも無益性解析の結果「途中撤退」となった失敗治験でした。最終的にはそれらの「後付け解析」で承認申請までこぎつけられたわけですが,他の類似薬剤は軒並み治験撤退となっています。この現状から考えるべき問題は何でしょうか。
アデュカヌマブの 2 つの第 III 相試験は,いずれも無益性解析の結果「途中撤退」となった失敗治験でした。最終的にはそれらの「後付け解析」で承認申請までこぎつけられたわけですが,他の類似薬剤は軒並み治験撤退となっています。この現状から考えるべき問題は何でしょうか。
現時点で「アルツハイマー病の治療薬」であるという証明が不十分なまま,アデュカヌマブは「アミドイドβプラーク減少薬」として FDA に迅速承認されました。この薬剤に過剰な期待を覚えてしまう前に,私たちが知っておくべき12の重大な問題点について箇条書きでまとめます。
検査や所見の〈感度・特異度〉は,コンセンサスのあるリファレンス・スタンダードに照らし合わせて算出されたものです。しかしその「照らし合わせ」の過程でバイアスが入り込む余地がなかったかの確認は必須です。そうでなければ,不当に高い感度・特異度を鵜呑みにしてしまうことになるかもしれません。
感度・特異度は,それが「どのようなリファレンスに対するもの」で「どのような患者集団を対象にしたもの」なのかによって,大きく変動します。
医学論文を批判的吟味するために必要な知識をひたすら箇条書きにした記事です。今後の記事作成のロードマップにするつもりです。
ランダム化比較試験 RCT の結果を批判的に吟味するとき,非常に重要な考え方の1つは「サンプルサイズは必要十分か?」です。サンプルサイズは小さすぎても大きすぎても問題です。その問題について解説します。
パワー分析とは〈統計学的に有意な差〉を示すために必要十分なサンプルサイズを予め計算しておくことです。ランダム化比較試験のデザインに関わる重要な知識である検出力(power)とサンプルサイズについてまとめます。
信頼性の高いエビデンスとされる RCT ですが,限界を知らずに結果を鵜呑みしてしまうと危険です。特に大きな問題となりやすい5つの限界についてまとめます。
エビデンスの王様とされるランダム化比較試験 RCT の特長をまとめます。ポイントは「バイアスのリスクが低い」「交絡因子の影響を受けにくい」ということです。
軽症例の COVID-19 症例を対象にイベルメクチンの効果をみた,コロンビアの 400 人規模の 二重盲検 RCT を吟味しました。批判的吟味を系統的に行う「チェックリスト」を用いて実際に吟味していきます。